「なぜサッカー選手が肩甲骨をケア・トレーニングするのか」〜前編〜

今回は肩甲骨の重要性に関して、サッカー選手として必要と思われる
【プレー中の姿勢】についてです!

サッカーに必要要素は、キック・トラップ・ドリブル・ヘディング・タックル・ボール
キーピングがあると思います。

そして、サッカーはバスケットなどと同様にリミテッドコンタクトスポーツ、
つまり「相手と接触することもあるが、距離を置くことを主とする形式」に分類されます。

ただ、
局面でのデュエルやポジショニングを争う際には、コンタクトを受けても“姿勢”を崩さ
ないフィジカルが要求されます。
その姿勢を保持するために重要な部位が肩甲骨なのです。

*肩甲骨のみではなく、骨盤・腰椎・胸椎・胸郭を含めた姿勢の問題と考え、
トータルで見ることが重要ですが、肩甲骨を主役に述べていきます。

体幹の姿勢や四肢の形は、スポーツ動作の良し悪しを決定する重要な要素です。
理想的な姿勢は、骨盤及び肩甲骨を立てて、脊柱に十分にそっている状態です。

<解剖学的に言うと、骨盤が自然と引き上がり(前傾でも後傾でもなくニュートラルな
状態)し、肩甲骨は骨盤に向かい内転下制し胸郭後面に張り付き、腰椎を中心に脊椎が伸展した
状態>

注意したいのが過度に胸を張ろうとすると、固定され動きにくくなります。

左右の肩甲骨は脊柱を介して天秤の役割を果たすため、安定性のある運動性を兼ね備えておく必要
があります。

参考にしたいのは世界を相手に活躍された中田英寿氏です。
彼ほどフィジカルで互角以上に屈強な名だたる選手とやり合えた選手は出てきていません。
とにかく倒れない。

それから近年では、マルセイユから浦和レッズに移籍された酒井宏樹選手でしょうか。
久保建英選手が6月5日のインタビューで「酒井選手は体の使い方や、もともと持っているモノがすごいと思う。
それにプラス努力もあってああいう形になったと思います。

自分は考察するくらいしかできないけど、やはり体の当たり方、アジリティだったり、なんなら
フランスとかにいても、フランス代表の右サイドバックとやっていても遜色ない。」
と話されています。

「顔を上げて、体を前屈みに重心を落として・・」などと、数十年前に指導を受けてきた身としては、
こうして運動解剖学を学ぶと「もっと身体構造を考えておくべきだった」と悔やまれますが・・・

そもそも「顔を上げ、体を前屈みに上部の体を固め重心を落とす」と、骨盤が後傾し(倒れ)重心が踵に落ちてしまいます。敏捷性が要求される場面で初動が遅れてしまう。

そうではなく、肩甲骨・骨盤を立てた状態を作り脊柱がそっていると、上体は安定し重心が高い状態を維持でき足趾に重心がのり、さらには下肢を自由に動かしやすいという利点が生まれます。

言い換えると、上体が安定していると下体にゆとりが生まれてバランスをとりやすくなる。
そしてイメージ通りに下肢を運べる。
動かせるとなります。

その、“良い姿勢”をとるために必要な筋肉群があります。
インナーユニットとアウターユニットという2つの機能区分に大別される筋群です。

まずは、インナーユニット。
コアと呼ばれる前部の腹横筋,後部の多裂筋,上部の横隔膜、下部の骨盤底筋の4つの緊張によって抗重力方向へ圧を加え,体幹の固定として機能。

そしてもう1つ、アウターユニットは表層筋により構成され,体幹と上下肢を連結させ、
運動の制御作用を担う機能です。

前斜系と後斜系があり,前斜系は外腹斜筋と大内転筋の連結,後斜系は広背筋と大殿筋の連結からなります。

ぜひ意識してみてください。

まずは、動作の時にだけ姿勢をよくしても良いパフォーマンスにはつながらないと思います。

普段から姿勢を意識するだけで動作の質が変わると考えます。

具体的なトレーニン内容に関しては今後、資料や文献を読み漁りまして、有効なものをご紹介できればと思います。

記事:T.S.(理学療法士)